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こちらのブログ記事は、改訂追記版を2017年3月11日に新たに更新しました。よろしければ、そちらをご覧ください。↓

ペットホテルで警戒心の強い紀州犬を数分でリラックスさせる方法1 | DOG WEB

 

 

ペットホテルに紀州犬がやってきた。

柴犬甲斐犬と並ぶ、和歌山県原産の日本を代表する和犬だ。飼い主さんから一通りの性格等聞かせていただいた後、すぐ助手席に乗せる。乗せた後すぐ飼い主さんがおっしゃった。「油断しないでください、本当に紀州犬そのものの性格です」と。

紀州犬そのもの、つまり飼い主さんには忠誠を尽くし従順だが、見知らぬ人間には強い警戒心を抱くということだ。その見知らぬ人間のおっさんが横で不穏な動きでもした時は、敵意をむき出しにしてくる確率が非常に高い。


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先日も書いた犬のサイン「カーミングシグナル」。このあくびもそうだ。明らかに緊張している。こういうときにこちらが緊張するとそれはすぐに伝わり、ただでさえ身構えているこの子の緊張は倍増する。だからといってむやみに撫でたり声をかけたりしてはいけない。自然体が一番。まず間合いを取って自然な空気を作り、こちらに敵意がないことを伝える。

これはなかなか言葉で説明が難しい。敵意がないことを伝える間合いっていうのがあるのだ。まだ目は合わせない。まったく知らないそぶりを見せているようでもある。でもわざとこの子のリードを持って反対側に回したり、目を合わせないままだが、こちらもたまにサインを出す。

私がよく使う方法だが、これが外ならお尻を向けて相手に突き出して匂いを嗅がせるという手もある。この場合車の中なので、知らん顔してリードを触ったりしながら何気なくこちらの匂いを嗅がせているのだ。もちろんこの時点では向こうも目を合わせようとしない。でも気になっている。


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この写真を撮るのもまぁまぁ一苦労だ。カメラモニターだけを見ながらそーっと撮っている。そーっと。もちろんこの子はカメラを向けられていることを意識している。これだけでも十分警戒警報だ。

この駆け引きがおもしろいのですよ。油断するといきなりガブっなんてこともあるのですよ。ホントなのですよ。それは犬の性格が悪いのではなくて、それが純粋な日本犬というものだから。もしやられたらそれはこちらの勉強不足。つまり下手だということ。

でもそこはほら、こっちもプロだから。送迎歴10年選手だよ、きみ。間合いを外すのはお手のもの。そしてこの子はVIPコース。なんと今日から3泊、家に一緒に帰り寝食を共にするのだ。最初が肝心だ。とにかく敵意がないことを伝える。でもなめられてもいけない。リラックスしながら毅然とした態度で向かい合うのが大事なのだ。

リードを掴んだまま窓を全開にする。本当に空気を入れ替えてやる。ふっと緊張がほぐれる。バックミラーに映る、窓の枠に顔を乗せ外を眺めている仕草と表情でわかる。


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しばらくそのままにしておいて、また窓を半分閉める。そちらの自由にはさせない。主導権はこちらにあるのだよということを暗に示しているのだ。タイミングも必要だ。ここ結構ポイント。そして、ふと優しく名前をよんでやる。シェリー。シェリー。


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あどけない顔してます。きっともう大丈夫。

どやさ。

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