先週の木曜日、一通のメールをいただいた。タイトルは「はじめまして。○○○○と申します」妙齢な女性を彷彿とさせる美しい名前。なんだろう。新手のスパムメールかな。開いていいのかな。でもラブレターかもしれない・・・ハートマークだらけだったらどうしよう。 誘惑に負けてドキドキしながらメールを開ける。以下がそのメールです。匿名性を高めるために一部編集こそしてありますが、そのまま載せることをご本人さまに承諾を頂きましたので、ほぼコピペで貼らせていただきます。※名前も仮名です
Facebookで偶然、貴殿のブログを拝見し、感銘を受けること多々あり、この方なら今、私が愛犬について悩んでいる事にアドバイスいただけるのではと厚かましくもメールをいたしました。
愛犬は、ミニチュアダックスのブラックタンのオスで名前は「ソラ」、1月で3歳になりました。
それはうちに迎えて数ヶ月の突然の事故でした。人一倍元気な子犬だったソラは抱っこした腕からずり落ち、脊髄を強打してしまいました。運良く名医さんにめぐり逢い、一命を取り留めましたが生まれて5ヶ月で下半身不随になりました。
今はとても元気ですが、お散歩は車椅子で排尿排便が自力ではできません。ウンチは少し吠えるだけで所構わず出てしまいます。そして溺愛したせいでの異常なまでの分離不安があります。
そんな昨今、私にも余裕ができてきたせいか、彼にお友達をと考えるようになりました。そこでご相談なのですが、ソラが新しい家族をどう思うのかという事です。新しく迎える子は、きっと4本の脚で元気に走り回り、ソラが嫌いな散歩もせがむ事でしょう。障害犬と健常犬とを一緒に飼うと障害犬が心身を壊し短命になるという人もいます。
お友達をと考えたのは、ソラに私たちがいない間でも寂しくないように、散歩も嫌がらないようにと全てソラの為にと思っている事が逆効果になるのでは、一人悩んでいます。
ワンコに対して勉強不足で、無知すぎる飼い主に対してご教示いただければ幸いです。長文になりました事をお許し下さい。どうぞよろしくお願いします。
○○ ○○
ラブレターではありませんでしたが、切実なご相談に胸にこみ上げるものがあり、しばらく考え込んでしまいました。これは真剣にお返事を書かなければいけない。ラブレターだったらどうしようなんてバカなことを考えている場合じゃなかった。
そして丸一日じっくり考え、翌日お返事を書かせていただきました。ご本人様の意向もあり、同じような悩みを抱えていらっしゃる方、またこれから同じようなことで悩まれるかもしれない皆さんへ、少しでも参考になればということでアップさせていただきます。こちらも同様、一部編集しておりますがほぼ原文そのままです。以下。
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こんにちは。ドッグサロンfucaの安藤です。下記メールを拝見しました。力及びませんが、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
私ども家族の風花(ミニチュアダックス♀12歳)は、生後2ヶ月で右後肢膝から下を事故でなくしました。
ソラくんのような下半身麻痺状態ではなかったのですが、その後ヘルニアも発症し下半身麻痺の状態が半年ほど続いたこともあります(今は幸い歩けるようになりましたが)。
この経験や今まで見てきた同じような境遇の犬たちを見てわかったことがあります。
犬はその状態を不幸と感じることはありません。
実に見事にというと語弊がありますが、現実をそのまま真っ直ぐに受け止めます。つまり「これが普通」だと認識しています。
人間にはなかなか真似ができませんが過去に捉われないのです。
昔は歩けていたのに・・・とか一切考えません。それは習性でもあります。
その過去に捉われているのは飼い主さんの方だけです。
お気持ちはお察ししますが、そこをまず理解しておいてください。
下半身麻痺はあるにせよ、今は元気だということで何よりです。
排尿排便の失敗なども、ソラくん自身はそれが普通だと思っています。
そのおかげで、ソラくんは予想以上の溺愛を受けることができて幸せです。笑
分離不安については、下半身麻痺とは全く別問題で考えられるべきですが、この対処については焦らずにゆっくり対応してあげることが大事かと思います。
そしてお友達としての新たな家族犬を迎えるかどうかの件。
先ほども書きましたように、犬たちは群れの中で生活していますが、他と比べるということをしません。
今を生き、自分を生きています。
いいなぁ、あの子は走れて・・・などとは考えません。
あ!あの子がおやつをもらってる!ということには反応しますが、あの子のおやつの方が大きい・・・とは考えません。
そういった部類の心配は無用です。
ご心配されているのは、その体力の違いからくる諸問題についてだと思います。
これも下半身麻痺とは全く別問題で考えるべきです。
チワワとドーベルマンを飼ってらっしゃるご家庭もあります。それと同じことです。
ただし、これは健常犬同士の場合でもそうですが、相性というものがあります。
今は保護犬の里親募集なども、まずはトライアルで先住犬との相性を見るというところが多くあります。
もし可能であれば、そういったシステムのあるところをお探しになって、まず相性を見てみられてはいかがでしょうか。
○○さまがソラくんを思われる気持ちが私にもヒシヒシと伝わって来るメールでしたが、何よりその気持ちはソラくんに通じないはずがありません。
どうか安心して、新しいご家族とのご縁探しをなさってください。
乱文お許しください。
安藤
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