こんにちは、あんさん(@kazuo_ansan)です。
※この記事は2016年3月に書いたものを改訂、ならびに追記し最新版として書き直したものです。2千文字ほど追記し、トータル4千字ほどのボリュームになっています。
昨日、似た内容のご質問メールを2通いただきました。
ペットホテル独立開業に関するご相談で多いご質問ですので、ご質問をサブタイトルとして項目に分け記事として書かせていただきます。
お預かりできる犬と、できない犬の見分け方
まず、基本的にお預かりをお断りする場合が2つあります。
初めてのお客様で犬が
①老犬の場合。
②病気である、もしくは感染症が疑われる場合。
この場合は「大変申し訳ないのですが、獣医さんの方でお預かりをしてもらってください」という形でお断りします。
初めてのペットホテルによるストレスで体調に急激な負担がかかるため、不測の事態を避けるためです。
行きつけの獣医さんがない場合は、こちらでホテルをされている獣医さんをご紹介します。
ただ何度もご利用いただいているお客様の場合は、老犬だから、病気だからといってお断りすることはせず、お預かりします。
ただし病気の場合、感染症でないことが大前提になります。
お預かりできる犬、そうでない犬
ご質問のお預かりできる犬とそうでない犬、というのは幾つかのことが考えられます。
例えば病気の場合、外見で判断が難しいものがあります。
その場合は、お預かりする際にご記入いただくペットホテル規約というものに記入いただく形を取っています。
これはお客様の自己申告になりますので、ご記入をいただいてからのこちらの判断になります。
もう一つ、これがご質問者様の一番不安な事案ではないでしょうか。
暴力的な犬をどうやって見分けるか。
また明らかに攻撃的な性格が見えるとして、それでもお預かりするのか。
これは実際にお預かりしてみてからでないとわからないことがほとんどです。
犬たちも初めは緊張していますから、普段の性格が見えません。
その場合、本来の姿は慣れてきて初めて見えてきますので、そこからどう対処するか。
それが私たちプロの腕の見せ所でもあります。
方法についてはのちほど、別の項目で書きます。
また、初めから攻撃性をもろに出す犬もいます。
でも私たちにしてみれば、その方が対処しやすいのです。
お客様に「この子の場合はフリーで他の犬とお預かりするのは困難かもしれませんので、少し様子を見ながら対処させていただきます」という旨を伝えることができますから。
「それならもう預かってもらわなくて結構です」と言われたことは一度もありません。
お客様もその子の攻撃性を理解しているからです。
お預かりできる犬とできない犬の選択肢は、老犬か病気でないか、それだけです。
そこに”攻撃的”という選択肢はありません。
攻撃的な犬に対してはプロとして毅然と対処しなければなりません。
ただし、土佐犬などの特定危険犬種については、初めから”お預かり不可”と明記しておけばいいと思います、
※特定危険犬種についてはこちらの「繰り返された土佐犬等大型犬による事故〜危険犬種の飼育について」をご覧ください。
ただし病気につきましては、前述しました通り、あくまでもお客様の自己申告ですが。
攻撃的な犬をお預かりする際の注意点
10年前に比べ、日本犬(特に柴犬)は随分とおとなしくなりました。
交配的な努力などもあると思われます。
それでもやはり、日本犬には飼い主さん以外への警戒心の強さは感じます。
この場合も、他の犬たちとのフリースペースでの行動は、様子を見ながら進めていくことになります。
具体的に書きますと、リードを装着した状態のままにします。
いつでも引き離すことができるようにしておくということです。
リードが付いていないと、犬同士の喧嘩が始まりそこに割って入る場合、攻撃がこちらに向かってくることが多くあるからです。
お客様からお預かりしたリードは使わないでくださいね。
汚れますから。
店側でそれ専用のリードを用意しておいてください。
実際、スタッフは噛まれたことのない人はいません(笑)。
これは職業柄、仕方のないことです。
もちろん噛まれない技術、知識は経験で身についていきます。
大事なのは噛まれた時の処置です。そっち。笑
噛まれた時はすぐ、迅速に傷口を洗い大量の消毒液で消毒。
自己判断せずすぐ病院に行ってください。
怖がらせているようで申し訳ないのですが、それで大丈夫です。
そこさえ間違わなければ、重症化することはありません。
それよりも心配なのは、その後それがトラウマになり犬たちに対して恐怖心を感じるようになってしまうことです。
その空気は犬たちにすぐ伝わります。
怖がるとなめられます。
そうなってしまえば、犬たちの方が優位に立つことになります。
その辺のことを書き出すとえげつなく長文になりますので、またセミナー等でお話しします。
よろしければ拙著を読んでください。
犬たちとの正しい関係の作り方も書いています。
すぐ読める電子書籍版もあります↓
怖がりな犬を預かる際の注意点
この場合も前述同様、リードを装着した状態で様子を見ます。
怖がりだというのは、飼い主さんも理解されているはずですから、前もって飼い主さんに以下のお断りを入れておくようにします。
①ペットホテルでお預かり中の犬が多い場合は、いきなりフリーにはできない可能性があること。
②もしもの場合に備えて、リードを常時装着させてもらうこと。
特に②のもしもの場合に備えるというのが重要になります。
もしもの場合1〜逃走
まず逃走。
怖がりな子は、柵をよじ登ってでも、サークルを破壊してでも、逃げようとすることがあります。
実際、私のところではペットマンションの屋根を破壊した子もいます。
あれは、そう簡単に壊れるものではありませんから。
攻撃的じゃない子です。
極端に怖がりな性格の子です。
とにかくその場から逃げ出したい。
飼い主さんのところへ行きたい一心です。
リードさえ装着しておけば、なんとかなります。
ただし、リードを噛みちぎる子もいますので注意してください。
くくってるわけではありません。
ただ、たらーんとぶら下がってるだけのリードでも噛みちぎられます。
噛みちぎられたら、すぐ別のリードを装着しておいてください。
もしもの場合2〜喧嘩
怖がりゆえに、他の犬と喧嘩になることが多くあります。
他の犬は興味津々、挨拶で匂いを嗅ぎに近づいてきただけでも、その子にとっては恐怖以外のなにものでもありません。
じーっとしてたかと思ったら、突然ガウウウっと攻撃態勢に入ります。
そうなると、近づいていった方も驚いて応戦し喧嘩になるという。
そうなったら、すぐに止めに入らないといけません。
引き離す時にも、やはりリードが付いているのと付いていないのとでは大きな時間差ができます。
遅れれば怪我をさせてしまいますから、時間勝負です。
リードが付いていない時に、身を挺して止めに入り、大怪我をしたのは、何を隠そう、うちの先生(奥)です。
史上最高の怪我でした。
先生ほどの噛まれない技術を持ったプロトリマーでも、そうなります。
でもすごいのは、怪我をしたのは先生だけで、犬たち同士は無事だったこと。
名誉の負傷とはこのことです。
素晴らしい。
もしもの場合3〜引きこもり
これは1と2ほどの危機ではありませんが。笑
ペットマンションを破壊するのと逆に、ずっと入ってる方が安心する子も多いのです。
その代わり出てこない。引きこもりです。笑
この時もリードが付いていたらすぐに出せるのですが、付いていないと困ることになります。
怖いものだから、この時も歯をむいて威嚇してくるのです。
無理に捕まえに行くと、場合によっては噛まれます。
噛まれた場合は、またすぐ処置を忘れずに。
まとめ
ペットホテルを仕事としてしているわけですから、他の犬たちにうつる可能性のある感染症や、その子自身の命に関わる病気以外、依頼があればすべて受けるのがプロです。
お客さまの大事な愛犬をお預かりする、命を預かるという仕事の責任を全うするために、技術と知識を身につけなければなりません。
噛む子は怖いから嫌だ、というのはNGです。
怖いと思います。
私だって、今でも怖いです。
でもそれを顔や態度には出しません。
出すと犬にバレます。
ちょっとした仕草で、ハハーン、こいつ怖がってるなって、犬たちはすぐ察知します。
そうなるとそのあとの付き合い、つまり仕事に差し支えます。
怖がらないのじゃなく、それがバレない技術を身につけることが大事なんです。
噛むなら噛めばいい。
こっちにはマキロンがついている。
がんばってください。
どやさ。
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